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PROJECT 1 mirror
うつるのは
あの時のわたし
うつすのは
今のわたし
今のあなた
うつくしいもの。
2009年、hasselを持つようになってからはまった花の撮影。切り花を買ってきては、自室で、デスクライトを使って来る日も来る日も撮影していた。
暗室で画が浮かび上がるそのうつくしさに息をのんだ。
時にかなしみを、
強さを、
寂しさを、
癒しを、
与えてくれた。
ずっと、この世界は生きにくいと感じて生きてきた。
なぜここにいなくてはいけないのか。
なぜこんなにも苦しいのか。
なぜこんなに世界は煩わしいのか。
なぜわたしはこんなに悲しんでいるのか。
汚い。
あの頃見ていた世界は、とても汚かった。
それを忘れさせてくれる作業。
撮影している間は、どんな感情も忘れられた。
どんな思考も置き去り。
ファインダーの中の世界は、
それはそれはうつくしく、心地よかった。
ただただ、気持ちよかった。
この小さな物体に宿る、
不思議な魅力。
彼らはなにも話さない。
ただそこにある。
淡々と花を咲かせては、
枯れていく。
その繰り返しのなかに見えるうつくしさ。
ネガを見るたびに、喉の乾きが潤うような、
そんな気がした。
花は語る。
語らせているのはわたしだろう。
その花びら一枚で、
茎の曲線で、
朽ちていく姿で、
わたしに語る。
写真に画としてうつっているものは、
「今」ではない。
過去のひとときだ。
でも、
「今」それを見るわたしたちがそこに映すのは、
「今」のわたしたちの姿である。
芸術はわたしたちを縛らない。
こだわりがない。
ただただ、
わたしたちをうつす。
鏡のようなもの。
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