PROJECT 2 色と空
かわいいもの。
ひとめみて、心を奪われた。
よく通る道で出会った、1匹の犬。
ガラスを隔てたあちら側にいる彼女。
前を通って出会うたびに撮影をした。
名前を知らない彼女を「くうちゃん」と
呼ぶことにした。
そのときちょうど般若心経にはまっていて、「色即是空 空即是色」のくうちゃんと呼ぶことに決めたのだ。
彼女はきっと、自分を知っている。
むやみやたらに笑いもしないし、
人間にこびたりもしないのだ。
そして勝手に、
人間に可愛がられている。
ガラスの向こう側で、
一体なにを考えているの?
そんな思いを抱きながら、何度も通った。
彼女が寂しい顔をしていても、
怒っているような顔をしていても、
それは結局、
わたしが「そう思う」だけなのである。
人間の勝手さを
あらためて教えてくれた。
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宇宙、全て、である空
それを一瞬切り取った色
色を切り取った時、
空に触れた気がして心が震える
空に触れたくて色を切り取りたくなる
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友人のゆうこが教えてくれた。
「色即是空 空即是色」の解釈。
「色と空」で参加した写真コンテストで賞を受賞した。
個展もした。
でも、「色」も「空」もいまいちわかっていなかった。
何度解説を読んでも入ってこなかったその解釈が、ゆうこがおしえてくれた5行で腑に落ちた。
彼女を見ていると、
その瞬間すべてを忘れられた。
夢中だった。
「色」のくうちゃんに触れることでわたしは、「空」に触れていたんだろう。
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